Google Cloudのユーザー会(Jagu’e’r)でJagu’e’r Awardの最優秀賞を受賞しました
こんにちはエヌデーデー関口です。
2023年12月8日にGoogle Cloudの公式エンタープライズユーザー会であるJapan Google Cloud User Group for Enterprise (通称:Jagu’e’r )の総会であるJagu’e’r Park ’23 <Winter!>が開催され、その中で行われるJagu’e’r Awardにて最優秀賞に選出していただきました。
Jagu’e’rとは?
そもそも、Jagu’e’rとは何なのか?ユーザーコミュニティとはどんなことをしているのか?をご説明します。
もともと、Google Cloudのユーザー会としては、企業、個人を問わず参加可能なGCPUGや、ワールドワイドにGoogleが支援するクラウド以外のすべてのGoogle関連の開発者コミュニティとして活動しているGDGというものが存在していました。
Jagu’e’rはこれらと活動の異なる団体となり、Google CloudとNDAを締結した企業に属するユーザーを対象としたユーザーグループとなります。NDAを締結した企業のユーザーグループではありますが、参加はその企業に属する個人単位で行う事になっています。
また、他の一般的なユーザーグループとJagu’e’rが異なる特徴としては、Google Cloudを利用している事業会社等のユーザー企業と、それらユーザー企業に対してGoogle Cloudを活用したソリューションを提供するパートナー企業が共に活動しているという点です。
ユーザー企業とパートナー企業が同居しているということで、ユーザー企業の方は過度な営業の場所になるのではないかと懸念される方もいらっしゃると思いますが、その点はJagu’e’rの行動規範と反するため禁止しています。そのためユーザー企業も安心して加入できるということで、ユーザー企業とパートナー企業の比率はおおよそ半分という珍しいコミュニティです。
2023年12月現在、参加企業は850社以上、会員数も3300人を超えるグループです。
分科会
Jagu’e’rには2023年12月現在26の分科会が活動しています。分科会はGoogle Cloudの技術にフォーカスを当てたもの、クラウドの人材育成や組織にフォーカスを当てたもの、特定の業種・業界にフォーカスを当てたもの、九州や関西といった地域にフォーカスを当てたものなどに分類されます。
そして、これらの分科会のいずれかがオンラインまたはオフラインとのハイブリッド形式で、会合(Meetup)を行って活動してます。その数、少なくとも毎月3回以上という非常に活発なコミュニティです。
Meetupでは、ある特定のお題に沿った5分から15分程度の短い発表(LT)を複数行ったり、Googleの人が最新の機能アップデートを説明してくれたり、あるいは集まった人で会社や業界に関した話題について議論を行うなどの活動をしています。中にはリファレンスなどの成果物を公開するという作業を行っていたりします。
Jagu’e’r Award
それではJagu’e’r Awardとは何かというと、Jagu’e’rのコミュニティ活動に対しての如何に貢献してきたかを評価して表彰するというものです。毎年表彰者を決定していきますが、評価対象の活動期間については1年間ではなく、対象者が入会してからの期間すべてが対象となります。
審査基準はJagu’e’r公式ページからの抜粋ですが次の通りで、自薦・他薦を問いません。
書類審査及び、ピッチ大会にて、以下観点から Jagu’e’r に如何に貢献したかを総合的に判断します。
(期間問わず。 ~ あなたの Jagu’e’r 人生すべて ~。)
- 外部への情報発信による、Jagu’e’r のプレゼンス向上への貢献
- Jagu’e’r 参加企業/メンバの拡大、コミュニティの成長への貢献
- イベント、勉強会、Slack等での登壇/情報発信による、貢献
- Jagu’e’r(全体/分科会)の運営への関与、貢献
- Jagu’e’r への熱い想い
書類審査を通過した人は優秀賞受賞者として、ピッチ大会に進むことができ、先に説明したJagu’e’r Parkの中でそれぞれ約5分間の発表を行い審査していただきます。そうして最終的に審査員と視聴者の方の投票により3名の最優秀者が選出されるという流れです。
なぜJagu’e’rで活動し続けているのか?
私がなぜJagu’e’rで活動し続けているのかという理由についてお話しします。
弊社はお客様向けにシステム開発を行ういわゆるSIerという分類の企業です。当然、技術の選択肢の1つにクラウドも入ってきます。クラウドに関してはAWSやAzureも利用しており、実態としてはこれらの案件が多く、私自身もこれらのクラウドを利用した案件に携わっていたことが多いです。
そのような中、かつて私が所属していた部門でGoogle Cloudにも力を入れていこうという動きがあり、私もGoogle Cloudの情報を収集していたのですが、その矢先に現在の私の部署が新設されることになり、せっかくなのでそのままGoogle Cloudの情報を収集していたところ、ちょうどJagu’e’r設立の情報が目に入り入会したという経緯がありました。
個人としての活動では、かつてOSSや他のクラウドのユーザーグループにも参加したことがあったので、コミュニティ参加が初という事ではなかったのですが、Jagu’e’rはそれらのコミュニティと少し異なった趣がありました。
ユーザーとパートナーが一緒に参加していた
先に説明したとおりですが、エンタープライズのユーザーグループでありながら、ユーザー企業だけ、パートナー企業だけというくくりはなく、どちらの企業の方も参加して活発に議論や登壇に参加しているという光景が新鮮でした。
これまで参加してきたユーザーグループでは、例えばあるソフトウェアやサービスをバリバリに使い込んでいるユーザー企業の方がお話されたり、ベンダー側は自社製品の紹介をするようなお話をされたりという事はありました。
しかし、Jagu’e’rにおいては、もちろん先進的な取り組みをされているユーザー企業の方も参加されていますが、それだけではなく、最近Google Cloudを使い始めたばかりという企業や、私たちのような中小のSIerでも参加して、Google Cloudの活用方法であったり、悩みどころという話をフラットな立場でできる環境にありました。
技術だけじゃない話題の広がり
Google Cloudのユーザー会ということで、おそらく皆さんのイメージとしては真っ先に「クラウド」「マネージドサービス」「ネットワーク」などの技術的な話題について議論しているところではないでしょうか?
しかし、実態はそれだけではなく、Jagu’e’rではGoogle Cloudが後押ししているユーザー会でありながら、他のクラウドの利用状況なども普通に話題として出てきますし、技術以外にも人材の育成方法や、企業カルチャーについての議論、サステナビリティを意識してクラウドなどの技術を使って何ができるか?など幅広い話題で活動しています。
私自身は技術者出身ですので、もちろんテクノロジーについての話に興味がありますが、企業組織のマネジメント層としての立場もありますので、企業人としての先輩や同じような立場にある方々とお話できる機会が非常にありがたいと感じています。
DEI(Diversity, Equity & Inclusion)
Jagu’e’rに参加すると、もちろんGoogleの社員の方々(Googler)とも話す機会があります。彼らからはGoogle社内で浸透しているDEIの考え方を良く聞くことがあります。DEIはDiversity=多様性、Equity=公平性、Inclusion=包括制を意味するキーワードの頭文字です。
私がJagu’e’rに参加した当時に少し懸念していた事があります。それは過去の体験において、新たにコミュニティ参加した当時、既に参加している人々がそのテーマについて熟知している人や、古参の方々だけで集まってしまい、イマイチ新参者の私は中に入り込めずにいたという敷居の高さでした。
Jagu’e’rというコミュニティに参加すると、様々な企業の様々な立場、そして様々な世代の人と接する機会がありますが、先に懸念していたような敷居の高さは本当にありませんでした。
それは、企業の大小、老若男女、エンジニアかそうでないか、それに関係なくGoogle Cloudやその周辺の技術、あるいはクラウドに関わる人々の課題について、決して「お仲間意識ではなく」共に話して、解決して進んでいこうというマインドの中で集まっているからだと思います。そこにはDEIの考え方が自然と浸透しているような気がします。
新たな出会い偶然の出会い
また、このような環境の中で多くの人々と知り合うことで、世代を超えて(私はそれなりのベテランなのですが)仲間と呼べるような方々と知り合うことができたり、また多くの人々の中から奇跡というような偶然の出会いにも恵まれたりしました。
それは、SIerという比較的閉鎖的な空間ではなかなか味わうことのできない心地よくも奇妙な出会いだったと言えます。技術系のコミュニティではありますが、技術だけに限定されないこうした出会いの妙が私をJagu’e’rで活動させている魅力なのではないかと思います。
企業人としての思い
個人としてのJagu’e’rでの活動理由は、これまでに説明したものが主な理由ではあります。
一方、私は企業人としてコミュニティに参加しているわけで、そうなると「コミュニティ活動すると幾らもうかるの?」という話はいつまでもまといつく話題です。
正直なところ、今現在直接的に当社の利益に還元できているのかを計測していませんので明確な解答はできません。
しかし、当社のような規模の会社は、大手の企業が築いてきたネームバリューのようなものがほぼ無いに等しく、例え自社やお付き合いのあるお客様の評価が高くとも、表立って世間に出ることは少ないです。
そのような中で、こうして私がコミュニティ活動というものを通じて、広く私および弊社を知っていただくことは1つの広報活動だということも考えていることも確かです。(素性はあくまでエンジニアですけど)
この先どうしていきたいのか?
Jagu’e’rの活動においては先のピッチ大会でお話したとおり、企業コミュニティという不自由をまといながらも、最大限自由に遊び、また学べる環境を会員のみなさまに提供できるように貢献していきたいと考えています。私自身もJagu’e’rを通じていろいろな事にチャレンジしてみたいと思います。
また、私がこうしたコミュニティ活動が、自社の若い方々に対して「内にこもるな、外部とつながれ」というメッセージとして伝わるようにもしていきたいです。
それは決してJagu’e’rに入れということではなく、他のコミュニティや社外の人間との付き合いでも良いので、そこから広い視野、多くの視点を持つようになり、そして企業人としてだけでなく、一人の人間としても人生の可能性を拡げてほしいと考えているからです。
最後に、今回の栄誉ある賞をいただけたことをみなさまに感謝いたします。